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2004年6月 6日

著作権法改正案成立へ

とうとう、輸入CDを規制する法案が本当に可決されてしまった・・・

文化庁は「洋楽輸入盤は差し止め対象にならないと思われる」と言っているが
事実上、法に依って洋楽CDを輸入規制することも可能なわけで
日本が音楽鎖国となる日も近くなってしまった。

簡単にこの法案について説明すると
これは、アジアで生産された、廉価な日本のCDの逆輸入を防ぐための法案で、
街角やディスカウントストアで売られている
中国や香港で作られた廉価なCD販売を規制しよう、というもの。
この法案が可決されたため、施行後は
国外向けCDを国内で販売する目的で輸入すると、著作権侵害となる。

当初の目的は、いわゆる「逆輸入盤」の規制なわけで
それに対しても、そもそもなんで
輸送コストがかかるはずの逆輸入盤の方が国内盤より圧倒的に安いんだ?
価格競争すべく、企業努力をするおつもりは?
といったことを思ってしまうのだけれど・・・

それよりも問題なのは、
著作権に関わる国際条約上、地域を特定しての規制は認められないため
法解釈・施行方法によっては、
洋楽の輸入CDをも、日本へ輸入ができなくなる、ということだ。

つまり、国内仕様のCCCDが¥3,000で発売されていたら
海外アーティストの安いCDは購入することができなくなる、という
既存の体制から考えると、最悪の事態となってしまったわけです・・・
この件は、このメルマガでも散々書いてきたので
CCCDや今回の輸入盤規制について興味をお持ちの方は
過去ログを読んでやってください・・・
右下に「CCCDについて」と、まとめてあります。

さて。
このような、業界の利益を守るが為の法案が通ってしまった背景は?
と、いろいろと検索していたら、とっても香しいものを発見してしまった。

以下、日本レコード協会富塚前会長の発言。
「中古CD販売店は,全国に約7600店ある。
普通のCD販売店が約8000店だということを考えると,
これは非常に恐ろしい数字だ。
そもそも,中古CD販売店というビジネスが成立するはずがない。
本は1回読んだら,映画は1回観たらもう用済で中古に売るのは理解できる。
だが,音楽は何回も繰り返し聴くものである。
それなのに,中古が出回るということは,パーフェクトクローンを手元に残し
オリジナルを売っているからだ。」
(ZDNet「レコ協,コピーコントロールCD普及に向け環境作り」より引用)

いかがでしょうか・・・
なんだか、とっても可哀想な人で。
これまで余程、素敵な本や映画に出会ってこなかったのでしょう。
あたし個人のことで考えると、
CDは、聴いて手元に残して置きたい物ではなければ処分してしまうけれど、
これまでDVDを処分したことは一度もないのだけれど・・・

そもそも、なんで日本は中古店が繁盛しているのか?と言えば
世界でも珍しい、音楽の再販制度があるから、というのが理由の一つ。
大昔に発売されたCDであっても、メーカー側が廉価版を発売するか
著作権が切れない限り、いつまでも新作当時の値段で売られている。
一昔前のアイドルのCDなんて、中古店に持っていっても
「値段がつきませんが・・・」と言われるのに
CDショップに行くと、相も変わらず¥3,000以上で売られている。

そして、大きな理由のもう一つに、レンタル店の存在がある。
「大人気のアイドルのアルバムが発売されたので、大量入荷!」
と、客を集めたはいいけれど、数ヶ月たてば、大量のCDはほとんどゴミ同然。
店舗のスペースは限られているし、
最早誰もレンタルしてくれないCDはさっさと処分したい・・・
ということで、中古ショップに流されていく。
中古店を利用される方は、レンタルのシールが貼られているため
安価で売られるCDを、一度くらい目にされたこともあるのではないだろうか?

このレンタル店の観点から見ても、
今回の法改正に矛盾があることがわかる。
パーフェクトクローンを手元に残すことが問題なのならば、
なぜ、レンタル店は容認されているのだろうか?
ネットでの違法コピーはやたらと問題視しているようだが、
レンタル店が原因でパーフェクトクローンとやらが散乱している、
と、いった論は聞いたことがないのだけれど。

されに言えば
いくらパソコンでデジタルコピーできるとはいっても、
データを完璧にリッピングしている人なんて、どのくらいいるのだろうか。
多くの人は、mp3やwmvと言った形式で保存・焼き増しするのであって
パーフェクトクローンを作れているとは到底思えない。
あたしも、手持ちのCDをパソコンに落として
好きな曲を集めたCDを作成したりしているが
ちゃちなコンポで聴いても、その音質の劣化がはっきりとわかるので
好きなCDに関しては、
デジタルデータが残っているから、オリジナルを手放そう
とは絶対に思わない。

少なくとも、日本レコード協会富塚前会長の発言のように
クローンがあるからオリジナルを手放そう、と思う人が多いのならば
それは、その程度の音楽が日本には多いのですよ、
と、語るに落ちているに過ぎないのではないだろうか。

そして、本や映画を蔑視した発言は、到底容認されるべきではないと思う。
音楽に関しても、本当に著作者の権利を守るためのものであれば、
同様に、作家・監督・俳優などのクリエイター達を蔑むような発言が
でてくるはずがないのではないだろうか。
少なくとも、あたし個人で言えば
日本国内の音楽CDよりも、日本の作家が書いた本の方が
手放せない著作物がたくさんあるのだけれど。

ーメルマガ「シアターレビュー」vol.28よりー

「著作権法改正案成立へ」奥付

  • Posted : 2004年6月 6日 18:54
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