大根役者

「大根役者」(だいこんやくしゃ)

芝居が下手な俳優や、演技が拙劣な役者のことを
「大根」または「大根役者」と言いますね。

では、なぜ演技が下手ことを「大根」というのでしょうか?
これには、複数の説があるようです。

1つ目の説は、大根は食べても滅多に食中り(しょくあたり)することがないことから、
食べて中ったためしがない、役者として当たらない、公演が当たらない、
という連想から生まれたというもの。

2つ目は、芸のない役者は白粉(おしろい)を塗りたくって誤魔化す、
という芝居の世界の風説に、大根の見た目が白いことを引っ掛けて生まれたという説。
この場合、「素人」という言葉と同じような語源ということになります。

3つ目は、下手な役者が人物の役をもらえず、
かぶりものを被ったり、背景や道具のような役を務めていると、
大根を連想させる足だけが見えることから生まれたという説。
これは、「大根足」と使われることにもつながりますね。

4つ目は、下手な役者は役を降ろされる、おろされると言えば大根、
という「大根おろし」からの連想で生まれたという説。

このように語源には諸説あるのですが、
いずれにせよ、元々は歌舞伎の世界で使われていたものが、
広く用いられるようになった言葉のようです。

ちなみに英語の場合、
普通に「下手な役者」という意味では、
素直に「poor」(プア)を用いて「poor actor」などと言いますが、
日本で言うところの「大根(役者)」のことは、「ham」(ハム)と言います。
「ham」には「演技が過剰だ」といったような意味合いがあり、
「大根役者」は「ham actor」(ハム アクター)、
「わざとらしくて下手な芝居だ」なら「ham it up」(ハム イット アップ)と英訳できます。
では、日本の大根と同じように、なぜハムが使われるようになったのかというと、
これまたやはり諸説あるようです。

中でも有力だと思われるものを簡単に挙げてみると・・・
昔、役者のメイク落としにハムの脂身を用いていたことから生まれたという説。
中世ヨーロッパ時代、「ミンストレル」(minstrel)という宮廷に仕えた職業芸人のうち、
下手な人たちを「hamfatter」と言ったことから生まれたという説。
ダメな役者ほど「ハムレット」(Hamlet)に拘るということで、ハムレットのハムから来た説。
「素人」という意味の「アマチュア」(amateur)の発音が訛って
「ham it up」になったという説、などがあるようです。

こうして比較してみると、
「大根」と「ハム」、肉と野菜でずいぶん違う感じもしますが、
比喩として食物が使われている点では同じですし、
語源的に似ている部分もあるような感じがします。
もしかすると、食文化の違いが例えられる食材の違いとなったのかもしれませんね。

「大根役者」奥付

  • Posted : 2008年12月21日 16:52
  • Prev : « 囃し立てる・太鼓持ち
  • Next : 大道芸人 »
  • Category : 役者 | 舞台・演劇用語 | シアターリーグ