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「振り落とし・振りかぶせ」




歌舞伎の世界から生まれた演出方法で、
お客様の視線を遮っていた幕が一瞬にして落とされ、
その背景(幕の後ろ)にある装置や景色を見せる演出のことを言います。

基本的な仕掛けとしては、バトン(舞台の天井にある物を吊る棒)に
紐を引っかけるための短い突起物が付いており、

バトン┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻

この突起物に紐を引っかけておき、バトンをクルッと回すと・・ズドン!
というのが昔ながらの主流です。

現在「振り落とし」の方法は、
手動から電動まで様々な方法が使われています。
しかし、幕をバトンに引っ掛ける紐や仕組みは変わっておらず、
その紐が何かに引っかかる可能性も・・・

場面転換は、映画やテレビなら編集作業によって簡単に行えますが、
舞台では「所変わって」「そして数年後」
といった変化を一瞬で行うのが難しく、
この失敗の危険を伴う演出が用いられることが多いのです。


ところで「振り落とし」によって落とされた幕ですが、
もちろん舞台上そのままには出来ません。
そこで、袖にいるスタッフが引っ張って片づけたり、
歌舞伎では、幕裏の幕が落ちる辺りに裏方がいて
落ちた幕をかぶって上下にはけていったりします。

これはまるで落ちた幕が歩いてに退場していくようにも見えますが、
しかし、この片づけている瞬間をお客様が感じることは少ないのです。
幕が落ち場面が変わることで、その新しい場面に目がいってしまうのですね。

浅葱幕(昼間の幕)から黒幕(闇・夜の幕)
黒幕から浅葱幕というのが歌舞伎の醍醐味ですが、
振り落とされた幕の行方など気にせずに、
純粋に舞台を楽しんでくださいね。(^O^)


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