「囃し立てる」(はやしたてる)
「太鼓持ち」(たいこもち)
「太鼓持ち」「囃し立てる」共に一般的に使われていますが、
元々の意味とは少し違った形で使われている言葉です。
「囃し立てる」は、声を上げたり手を叩いたりして、
盛んに相手を冷やかすという感じの使い方が多いように感じます。
また「太鼓持ち」は、
御機嫌取りを馬鹿にして使う場合が多いのではないでしょうか。
これらの言葉は、両方とも芸能の世界から生まれたものですが、
本来の意味は否定的なものではありません。
「囃し立てる」は、文字通り「お囃子」を使って場を盛り上げたり、
相手を盛んに誉めるといった意味合いです。
「太鼓持ち」は双方の間に立って、お互いが気持ちよく出来るように
場の雰囲気を盛り上げ、楽しんでもらう仕事を指す言葉です。
そもそも「太鼓持ち」という名称は通称で、正しくは「幇間(ほうかん)」といいます。
「幇」は助けるという意味の言葉で、「間」は人間関係を表しています。
つまり人間関係を助ける職業ですね。
宴席に出て、芸者さんとお客様を楽しい雰囲気で結ぶ仕事も、
太鼓を持っていませんが「太鼓持ち」です。
語源は様々な説がありますが、
「田楽」の世界から生まれたのではないかというのが一般的です。
農作業で疲れている人を「囃し立て」、大変な仕事を楽しんでもらうために、
「太鼓持ち」をしたのではないかということです。
なんだか素敵な職業だと思いませんか。
ちなみに、この「囃し立てている」様子から生まれた言葉が、
大騒ぎを意味する「ドンチャン騒ぎ」で、
「ドン」は太鼓の音、「チャン」は鐘の音を表しています。