小芝居

「小芝居」(こしばい) 「大芝居」(おおしばい)

「会話に小芝居を入れてきた」などと、
寸劇」や「即興劇」、「ちょっとした芝居」という意味で使われることのある「小芝居」という言葉ですが、
本来は、小さな劇場、またはそこで行われる芝居のことを指すものです。

江戸時代、幕府(奉行)は許認可を与えて歌舞伎の興行を取り仕切っていました。
例えば江戸では、中村座・市村座・森田座という江戸三座が許可を得た座で、
この三座のみが定式幕を使うことも許され、「大芝居」と呼ばれました。

これに対し、幕府の許可を得ていない、
江戸であれば三座以外の芝居のことを「小芝居」と言います。
また、これらの興行では定式幕のような引幕の使用が許されておらず、
代わりに昇降する緞帳が使われていたため「緞帳芝居」とも呼ばれました。
さらに小芝居のうち、寺社にあるものを「宮地芝居」と言います。

つまり「小芝居」とは「緞帳芝居」のことであり、
元々は大芝居でない歌舞伎のことを指す言葉ということになります。
ですから、基本的に冒頭の例は誤用ということになるのですが、
庶民に密接した文化だった小芝居を観て、人々がちょっとした折りにそれを真似た芝居を打ち、
故にそれが小芝居と呼ばれるようになっていった・・・という可能性もありそうです。

「小芝居」奥付

  • Posted : 2009年10月22日 01:52
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