壊れ物

「壊れ物」(こわれもの)

舞台・演劇における「壊れ物」とは、
公演の最中に壊してしまう、
または壊れてしまう可能性がある小道具を指す言葉です。
例えば、路地裏で行われる喧嘩のシーンで、派手に割れ散るビール瓶・・・
このビールビンが「壊れ物」です。

別欄で「消え物」(公演の度に無くなってしまうもの)という言葉もご紹介していますが、
「こわれ物」は、ちょっと違った意味で使われる言葉です。

映画や舞台で見かける、凶器として使われるビール瓶等は、
松脂(まつやに)や飴を使って作られており、
乾いているのでガラスのように割れますが、
硬くはなく(とはいっても殴られれば多少は痛いものです)、
切断面も鋭利にならないので、
割れたガラスのような危険は少なくなっています。

他にも、グラスや灰皿などの日用品から、SFに登場するような非現実的なものまで、
壊れ物には数多くの種類があります。
ビールビンやグラスなど、壊れ物として一般的な物は既製品もありますが、
物によってはオーダーメイドで創られるものもあります。
また、硝子で出来たグラスなど、実際に日常に使われる物であっても、
「壁に投げ付けて割る」などの演出があった場合、
材質に関係なく、同じように「壊れ物」と呼びます。
このように、壊れ物は演出や劇場などの都合によって使い分けられているのです。

ロングランや旅公演で「壊れ物」を使う場合、
公演の回数+αの同じ道具が必要とされますので、
小道具置き場には数々の「壊れ物」が眠っています。
もし舞台の裏を見られるチャンスがあったら覗いてみてください。
きっと、必要以上と思える数の「壊れ物」があると思います。

そして、結局使われなかった予備の「壊れ物」は、
打ち上げや忘年会の景品として日の目を見る事が多いようです(笑)
しかし、関係者にとってはハズレの品に思える余った壊れ物も、
観劇してくれた方には嬉しい景品かもしれません。
例えば千穐楽の出口で松脂のビール瓶をお客様に配ったら・・・
やっぱり嫌がられるでしょうか?

「壊れ物」奥付

  • Posted : 2008年8月 3日 15:22
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