狂言

「狂言」(きょうげん)

狂言は、日本の伝統芸能で唯一の喜劇です。
冗談や人を欺くための小芝居を「狂言」と言うのも、ここから来ているわけですね。

狂言の発祥は、奈良時代までさかのぼります。
中国(当時は唐)から「散楽(さんがく)」という芸能が入ってきました。
それが、日本の農耕神事と融合して「猿楽(さるがう)」と呼ばれるようになります。
その「猿楽」が様々な経緯を経て、
面を使う悲劇的な歌舞劇「能」と、
日本古来の笑いの要素が加味された、喜劇の「狂言」に発展していくのです。

室町時代になると、大蔵流・和泉流・鷺流という三つの流派が確立され、
明治末期に廃絶した鷺流以外は、現在も活動が続けられています。
現在、一般に最も有名だと思われる狂言師・野村萬斎
和泉流野村万蔵家の名跡で、当代は二世です。

また、和泉元彌が和泉流二十世宗家を名乗ったものの認められず、
様々なトラブルの末、能楽協会に退会命令を下された、
いわゆる和泉流宗家の継承騒動も世間を賑わせましたね。
結局のところ、和泉流は先代である和泉元秀が1995年に亡くなった後、
現在も宗家を定めていません。

なお「狂言」という言葉は、「狂言綺語」という仏教用語から取られました。
これは、虚言や飾り立てた言葉を指すものだそうで、
これがやがてこの芸能の名称として定着したと言われています。

「狂言」奥付

  • Posted : 2008年6月21日 01:49
  • Prev : « ト書き
  • Next : 狂言回し »
  • Category : 伝統芸能 | 舞台・演劇用語 | シアターリーグ