リノリウム・地絣

「リノリウム」(linoleum)
「地絣」(ぢがすり)

舞台の床面はたいてい木(板張り)で出来ていますが、
様々な場所の地面に見せるという演出上の理由や、
俳優の演技や舞踏のために、いろいろな物で覆って使われています。
別欄でご紹介している「パンチ」もその一つですが、
他に、「リノリウム」「地絣」という物があります。
これらも、演出・演技上の理由で様々な使い方をされるものです。

まず「リノリウム」は、
木粉・コルクなど自然素材でつくられた床材で、
耐久性の高いゴムのような感じの物です。
一般には、ビニール素材の床材が普及したため
最近は使われることが少なくなっていますが、
ゴムのようでいながら滑りにくいものなので、
作中にダンスがあるなど、動きの激しい作品で好んで使われることが多くなっています。
また、落ち着いた色合いのものが多く、
無機質で具体性を感じない床面になるため、
抽象的・神秘的な雰囲気を醸し出したいときに使われることも多いようです。
ちなみに「リノリウム」は英語の「linoleum」で、
東リが販売している「リノリユーム」などがリノリウムで出来た製品です。
また、このリノリウムを舞台上で使うときに、
リノリウムを固定するためのビニールテープのことをリノテープと呼んでいます。

一方の「地絣」(ぢがすり)とは、
舞台の床面に敷き詰める布のことです。
着物などでお馴染みの「絣(かすり)」を地面に敷くもの、という言葉ですね。
地絣は布素材のため、軽い・収納や持ち運びが楽・セットが少人数でできるなど、
多くの良い点があり、最も頻繁に使われる敷物の1つです。
ただ、布ですから固定するには舞台に釘打ちしなければならないことが多く、
釘留めが禁止されている劇場では使いにくいという難点もあります。
公演を行う方は、予め劇場側に問い合わせておいた方が良さそうですね。

このように、観劇中は何気なく見過ごしている足元からも、
舞台では様々な演出が施されています。
観劇の際「床面」という表現に注目してみるのも一興ですね。

「リノリウム・地絣」奥付

  • Posted : 2008年7月 1日 15:21
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