「鳴り物」(なりもの)
「鳴り物入り」 (なりものいり)
「鳴り物」とは、元々歌舞伎の下座音楽(げざおんがく=下手で演奏する効果音楽のこと)で、
三味線以外の笛や打楽器などの楽器を総称した言葉です。
厳密には、能の四拍子である大鼓・小鼓・太鼓・笛だけの場合は「囃子」(はやし)と言い、
それ以外の銅鑼(どら)や鉦(かね)などが加わった場合に「鳴り物」と言ったそうですが、
現在では、三味線以外の楽器すべてを指して使うことが多いと思われます。
さらに近年は、スポーツの応援で用いられる楽器を指して「鳴り物」と言うことも多く、
楽器全般のことを意味して使うようにもなっていますね。
また「○○が鳴り物入りで入団しました。」というのも
やはりスポーツ界でよく聞くフレーズです。
この「鳴り物入り」というのは「鳴り物が入っている」という文字通りの意味で、
賑やかに囃し立てることを表す言葉です。
ですからこの場合は、「前評判が高く期待されて入団した」という意味ではなく、
「おおげさに騒ぎ立てられて入団した」とか、
「大々的に宣伝されて入団した」といった意味合いになります。
つまり、一般には誤解されていることが多いように感じますが、
「鳴り物入り」は本人が期待されていることを表しているわけではなく、
まわりが大騒ぎしていることを表しているのです。
しかし、期待されるからこそ大騒ぎされるのでしょうから、
本人にしてみると、いずれにせよプレッシャーがかかりそうではありますね。