人形立

「人形立」(にんぎょうたて)

「人形立」とは、パネルや張り物、切出しといった、
それだけでは不安定な大道具を舞台に立たせ、固定させる直角三角形の道具で、
現場では単に「人形」(にんぎょう)と呼ばれることもあります。
要は、背景などが描かれた一枚の板を支えるための物で、
一般的に言えば、立て看板を後ろで支えるつっかえ棒のような役目を果たすものです。

人形立は、扱いやすいように軽い木製の物がほとんどで、
それにパネルなどを立てかけ、釘や重りで固定して使用します。
ですから、公演を行う際にパネルなどを持ち込む際は、
人形立てが立てかける物の大きさに対応しているかを確認するのはもちろん、
支えるために十分な重さがあるかどうかの確認も重要となります。
つまり、重い材質の物で立てかける大道具を製作した場合、
人形立てのサイズは合っていても、重さに耐えきれなくて立てかけられない・・・なんてトラブルも起こりえるのです。
劇場には、備えてある人形立の大きさ(幅・高さ)だけでなく、
「人形立ウエイト」といって重さも記していることがほとんどですから、
関係者の方は予め注意してくださいね。

ところで、上演中には一瞬の暗転舞台転換が行われますが、
かなりの大きさのパネルでも、裏方さんは一人で素早く移動させる技を持っています。
高くて大きいパネルを、人形立てを利用してサササッと動かす様子は、初めて見ると感動すら覚えるものだと思います。
皆さんも機会がありましたら、ぜひ注目して見てみてください。

なお、金八先生のドラマでも有名ですが、
「人」という文字は「人と人とが支え合う」象形文字に由来しています。
人形を立てるわけでもないのに「人形立」というこの道具の名称も、
人の形を模した、ぬいぐるみなどの意味の「人形」ではなく、
人という文字の形のように、立てるものを支え合うという意味で名付けられたのかもしれませんね。

「人形立」奥付

  • Posted : 2009年6月 8日 01:36
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