千穐楽

「千穐楽」「千秋楽」(せんしゅうらく)

「千秋楽」とは、演劇に限らず、興行の最終日のことです。

「千秋」というのは、
「千年」「千歳」という意味で、非常に長い年月を表します。
そのため、あまり一般的ではないものの、
「千秋楽」と同意で「千歳楽」という表現もあります。
また、「千秋楽」を略して「楽日(らくび)」「楽(らく)」という呼称もありますね。

では、なぜ「千秋」に「楽」が付いた「千秋楽」が公演の終わりを表すようになったかというと、
以下に挙げる2つの説が有力視されています。

1つは、雅楽が演奏されるとき、最後に必ず、
舞のない盤渉調の曲「千秋楽」を演奏したことから取られたという説。
また、この曲が法要の最後に奏でられるから、とも言われます。

もう1つは、結婚披露宴などでも有名な能の高砂のうち、
「千秋楽は民を撫で、万歳楽には命を延ぶ。」という部分を、
演能の最後に歌ったところから取られたという説。

どちらも、もっともな理由のようでもあり、
語源としてはちょっと弱いようでもありますね。
いずれにせよ、芸能の世界から転用された、言葉遊びのような語源だからでしょうか。

ちなみに、舞台演劇における「千秋楽」は、
劇場では御法度の「火」が「秋」の文字に含まれているため、
縁起の良い「亀」の字を取り入れ、「穐」という字を使い
「千穐楽」と表記することが多かったようです。
(「穐」という漢字は「秋」と同じく「あき」「しゅう」と読みます)
しかし、木造の劇場が少なくなった最近は、舞台上で火を使うことも珍しくなくなり、
それに伴ってか、「千秋楽」という表記を使う方が一般的になっている感もあります。

「千穐楽」奥付

  • Posted : 2008年8月12日 14:38
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