芝居

「芝居」(しばい)

今では様々な使われ方をする「芝居」という言葉。
元々は、能・狂言の世界から生まれた言葉です。

室町時代、「芝居」は神様に捧げる神事でしたので、
上演される場所は神社の中でした。
神事なので、人間が観る場所(客席)は当然ありません。
そこで、人々は神社の中の芝生に座って観るようになりました。
芝生に居る(座る)、ここから「芝居」という言葉が生まれたのです。

ちなみに、この「座る」が劇場を表す「座」という言葉の由来です。
(歌舞伎座・明治座・御園座・中座など)

今でも、桟敷など値段の高い席に対し、
庶民が見物できる安い席(芝生席など)を指して
「芝居」という言葉は使われています。
他にも、「お芝居を観に行こう」などと演劇の公演(興行)を指したり、
「芝居をする」と、演じること全体を指したり、
様々な意味で用いられる「芝居」という言葉ですが、
語源をたどると、ここから転じて生まれたものなのです。

昔から日本で上演されてきた能や歌舞伎、演劇などを観劇に行くとき
「芝居を観に行く」と言うことはあっても、
ミュージカルなどを観劇するときにそうは言わないのは、
こうした語源に由来するのかもしれませんね。


「芝居」奥付

  • Posted : 2008年8月30日 14:25
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