綱元

「綱元」(つなもと)

舞台の上の方には、いろいろな物を吊るためのバトンがあります。
このバトンには幕、道具、照明といった多種多様な物が吊られ、
それぞれのシーンによって昇降(上げ下げ)されています。

そのバトンを上下するのに用いられるのが「綱」で、
綱が滑車を通して辿り着いた先を「綱元」と呼びます。
つまり「綱の元(はじめ)を用いてバトンを操作する場所」ということです。

綱元は、バトンにつながった綱が壁に何本もぶら下がったような状態になっており、
バトンに吊された物の重さによって、
鎮(しず)という鉄の錘(おもり)で調整を取ります。
しかし、舞台上で使われる物、つまりバトンに吊られる物は非常に重い物も多く、
当然、綱元で使われる錘も非常に重い物になります。
ですから、劇場の造りなどによって一概には言えないものの、
綱元は危険を伴う仕事であることが多くなっています。

また、幕を上下するタイミングやスピードなど、綱元には演出的な理解も求められます。
綱元は舞台の奥の奥、主に袖の暗い場所で、孤独感と戦いながら、
お客様を楽しませるために頑張っているのです。

近年は綱元の危険な作業も電動化され、
コンピューターでコントロールできる劇場も増えてきました。
しかし、古くからある劇場や小劇場などでは、まだまだ手動のことが多い「綱元」。
これは劇場側の設置コストの問題だけではなく、
突発的な出来事が起こってしまうことも多い演劇では、
咄嗟の機転が効く、手動の方が関係者に好まれるという面もあるようです。

「綱元」奥付

  • Posted : 2009年2月 9日 19:05
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