2005/5/25

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         お芝居めるまが「シアターリーグ」 
Vol.144                http://www.moon-light.ne.jp/
      発行部数 まぐまぐ:5015 めろんぱん:147 melma:69
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1978年の今日は、
勝新太郎が阿片所持容疑で書類送検された日です。

悪名」「座頭市」「兵隊やくざ」などの大ヒット作を持つ名優の一方、
プライベートではトラブルも多く「役者バカ」という印象の勝新太郎ですが
実は若い頃は、長唄の三味線奏者でした。

1931年、長唄の杵屋勝東治の次男、若山富三郎の弟として生まれた勝新太郎。
幼い頃から長唄と三味線を仕込まれ、17歳で2代目杵屋勝丸を襲名しています。
1954年、三味線弾きとして渡米後、役者となるべく大映に入社。
「花の白虎隊」でデビューを飾りますが、
同作の主演は同期の市川雷蔵が務め、勝新は脇役にとどまっています。

その後もなかなか人気が高まらなかった勝新ですが、
1960年「不知火検校」で初の汚れ役を演じ、注目を集めます。
そして1961年に「悪名」、1962年に「座頭市」と、
後世に残るヒット作を生み出し、スターの座を獲得。
1962年「不知火檢校」で共演した中村玉緒と結婚、
1967年には、勝プロダクションを設立して独立しています。

しかし、俳優業以外の話題も多かった勝新。
1978年の今日、阿片所持容疑で書類送検されたのをはじめ、
1990年には、ハワイで大麻不法所持で逮捕され強制退去処分。
このとき、パンツの中に麻薬を隠していたエピソードは有名ですね。

また、1979年には「影武者」の撮影中
黒澤明監督と大喧嘩の末、降板という事件もありました。
これは撮影2日目、勝新が「自分の演技をビデオに撮って見たい」と言うのを
黒澤に拒否され、勝新が怒ってしまったため降板に至ったと言われています。
結局、代役は仲代達矢が務めますが
製作にフランシス・コッポラやジョージ・ルーカスも名を連ねた同作で
勝新が主役の武田信玄と影武者を演じていたら・・・
そう空想すると楽しくもあり、残念でもありますね。

1989年、最後の座頭市となった映画の撮影中には、
立ち回りをした勝新の長男・奥村雄大(雁龍太郎)の真剣が、
殺陣師・加藤幸雄の首に刺さる死亡事故も起きています。
1997年、勝新太郎は下咽頭癌の為65年の波乱波瀾万丈の人生を終えました。
遺作となったのは、1990年の「浪人街」でした。


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            今週の舞台・演劇用語
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「リノリウム・地絣」

先週ご紹介した「パンチ」は、
木(板張り)で出来ている舞台の床面を覆うものでしたが、
同じ用途の素材に「リノリウム」「地絣」という物があります。
これらも、演出・演技上の理由で様々な使い方をされています。

まず「リノリウム」は、木粉・コルクど自然素材でつくられた床材で、
耐久性の高いゴムのような感じの物です。
一般には、ビニール素材の床材が普及したため
最近は使われることが少なくなっていますが、
ゴムのようで滑らないので、作中にダンスがあるなど
動きの激しい作品で好んで使われることが多いものです。
また、主に落ち着いた色合いのものが多く、
無機質というか、具体性を感じない床面になるため
そのような雰囲気を出したいときに使われることも多いようです。

一方の「地絣」(じがすり)とは
舞台の床面に敷き詰める布のことです。
着物などでお馴染みの「絣(かすり)」の、地面に敷くもの
という感じの言葉ですね。
地絣は布素材の為、軽い・収納や持ち運びが楽・セットが少人数でできる
など多くの良い点があり、最も頻繁に使われる敷物と言われています。
ただ、布ですから固定するには舞台に釘打ちしなければならず、
釘留めが禁止されている劇場では使えない難点もあります。
公演を行う方は、予め劇場側に聞いておいた方が良さそうですね。

このように、舞台を観ていても何気なく見過ごしている足元から
舞台の製作には様々な演出が施されています。
観劇の際「床面」という表現に注目してみるのも一興ですね。
次回は「着ぐるみ」という用語をご紹介しようと思っております。

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あとがき

私は30代前半なのですが、
物心がついて映画をよく見るようになった頃、
1980年代後半くらいから、封切りの邦画で「いい映画だ」というものに
あまり出会ったことがないような気がします。

冒頭で勝新太郎のことを書いていますが
勝新も、一枚看板で客が呼べる日本の映画スターですよね。
私は「座頭市」も最近になって観たのですが
理屈抜きにおもしろい、娯楽映画の名作だと思いました。

私が映画を見始めた80年代も終わりの頃には
勝新も、石原裕次郎も、三船敏郎も、松田優作もちょうどいなくなった時期で
スター不在となり、邦画界が冷え始めた頃と重なるのかもしれません。
世間はちょうどバブルの頃で
景気がいいと映画は儲からない、という格言の見本のように言われますが
単に、90年代にかけてはおもしろい映画がなかっただけのような気がします。

最近になって、ハリウッドで日本映画ブームが起きたり
邦画も勢いを取り戻しつつあるようですが、俳優で考えるとどうでしょうか。
高倉健、緒形拳、吉永小百合などは健在で、
脇役での出演は役不足の感も否めませんが、
やはり若手が主役を張り、脇を固めるポジションが理想ですよね。

私の趣味で言えば、真田広之、役所広司、陣内孝則、大竹しのぶなどは
今頃もっと大スターになっていても良さそうな気がするのですが、
なんだかそこまでの感じがしないですよね。
さらに若手で言えば、浅野忠信や萩原聖人などにも期待しているのですが
なんだか、だんだんこぢんまりとしてきたような気も・・・
もっと、企業側もスターを作るべく仕掛けてほしいように思ってしまいます。

思えば「座頭市」を観たときは、奥村雄大のことをまったく知らず
有名な俳優が揃ったキャストの中で
若いながら飄々とした演技で異彩を放つこの人は?
と、とても感心して観ていました。
後に勝新の息子と知り、血は争えないものだと驚いたのですが、
彼も最近はVシネマやバラエティでしか見かけませんよね。
松田龍平が優作とはまったく違うながら、独特の存在感を示しているように
奥村雄大も何とかならなかったのかなぁと、ちょっと残念に思いました。
                               kantaro
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