音楽劇

「音楽劇」(おんがくげき)

最近人気の「ミュージカル」とよく似た演劇のジャンルに「音楽劇」というものがあります。
近年では「ガラスの仮面」「赤毛のアン」「トゥーランドット」などが
主催者側から「音楽劇」と銘打たれて公演が行われていますね。

では、ミュージカルと音楽劇の違いとはなんでしょうか。
共に芝居・歌・踊りで構成された作品であることがほとんですし、
ミュージカルにこれといった定義がない以上、
両者を明確に区分けする分岐点はないように思われます。

しかし、作品の内容をもう少し細かく見てみると、
台詞の代わりに歌い、芝居の代わりに踊る「ミュージカル」に対し、
歌や踊りが作品の中の一要素に過ぎない演目を「音楽劇」とするケースが多いように思われます。
例えば、日本のオリジナル作品史上最高傑作とも言われる
上海バンスキング」では、音楽を演奏するシーンが最大の見せ場であり、
一般にはミュージカルとして捉えられることもありますが、
物語は台詞で進行されますし、演出家・串田和美の意向もあり
「音楽劇」と冠付けられることが多くなっています。
これは、劇団☆新感線の「五右衛門ロック」などでも同様です。

それから、ミュージカルのいわゆる否定的に捉えられがちな側面、
つまり、派手で仰々しい、突然歌いだす、商業的である、
などといった部分との違いを訴える意味もありそうです。
例えば、小劇場演劇において歌や踊りが含まれる作品を上演する場合、
演出家やプロデューサーが「表現方法の1つとして歌や踊りがあるに過ぎず、
ミュージカルのように大衆に迎合しているわけではない、
しかし台詞劇(ストレートプレイ)ではないので音楽劇である」と考えているケースです。

いずれにせよ「音楽劇」という言葉が用いられるのは、
創り手側の意図やこだわりが最大の要因であるように感じられます。
観る側は、ミュージカルとの違いを意識する必要はないかと思いますが、
その冠の違いから作り手側の意思をも感じ取れると、観劇もよりおもしろくなるかもしれませんね。

「音楽劇」奥付

  • Posted : 2009年10月 1日 02:51
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