小劇場演劇

「小劇場演劇」(しょうげきじょうえんげき)

「小劇場演劇」とは、
文字通り小さな劇場で上演される演劇のことですが、
演劇の歴史を振り返ると、大きな意味合いを持って用いられる言葉です。

1800年代の終わり頃から、演劇を商業主義から解放し、
本来の芸術を目指した演劇運動が起こりました。
これを「小劇場運動」と言います。
さらに1960年頃には、当時全盛だったリアリズムの「新劇」や
大衆的な舞台演劇である「商業演劇」に対し、
非日常・芸術を追究する「アングラ演劇」として
若い世代を中心に、小劇場演劇が大きな盛り上がりを見せました。

しかし、昔は政治的・文化的な論争を巻き起こすなど、
色々な意味で議論の的だった演劇のジャンル分けも、
現代は文化や娯楽の1つとして一括りにされることが多く、
「小劇場演劇とは何か?」といったことが議論されることも少なくなりました。
現在は、演劇のジャンル分け自体がほとんど意味を為さなくなっていますし、
ブロードウェイにオフ・ブロードウェイがあるように、
小劇場は、単に大きな劇場への登竜門としてや、
実験的な作品を上演する劇場としての要素が大きくなっているような感じがします。

現代において、演劇のジャンルとして「小劇場演劇」という場合は、
演出家・作家が主義・思想・芸術性などを主張する演劇を指しているのではないかと思います。
いわゆる「商業演劇」が俳優中心のスターシステムに則った興行なのに対し、
小劇場演劇は、作品ありきの興行、と言っても良いかもしれません。
例え小劇場とは言えない大きな劇場に進出したとしても、
「小劇場演劇」と呼ばれる作品や劇団があるのは、こうした観点からではないでしょうか。

「小劇場演劇」奥付

  • Posted : 2008年9月20日 19:05
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