ページェント

「ページェント」(pageant)

屋外で上演される演劇である「野外劇」を英訳する場合、
「アウトドア・プレイ(outdoor play)」と直訳のように表現することもありますが、
「ページェント(pageant)」という場合もあります。
「ページェント」とは、「ページ(page)」を「開く」といった感じの言葉が語源なので、
カタカナでは「ページェント」と表記されていますが、
英語の発音的には「パジェント」と言った方が近いと思います。

この「ページェント」は、元々中世ヨーロッパにおける宗教劇のことで、
教会においてはイエス・キリストの降誕劇のことを意味します。
当時は祝祭日などに、飾り立てられた山車や屋台が広場などに繰り出され、
広く民衆の前で移動舞台による劇が上演されていたということです。

つまり、ページェントの語源から演劇的な意味を考えてみると、
単に野外劇というよりも、ページを繰るように山車などで上演されるサイクル(cycle=連続劇)
といった感じになるでしょうか。
日本では、1910年頃から坪内逍遙などがページェントを広めようと様々な試みを行いましたが、
成功したとは言い難い結果に終わっています。

近現代になって、ページェントは派手な行列、
お祭りのような街のイベントといった趣で欧州を中心に復活しました。
日本ではイルミネーションショーのことを「光のページェント」などと言うことがありますし、
アメリカでは、ファッションショーや美人コンテストなどを「ページェント」と表現するように、
近年は、華麗・壮麗なもの、スペクタルなショーなどを意味する言葉になっています。
一応、野外で行われているものという概念は残っているようにも感じられますが、
少しずつ言葉の持つ意味が拡大していると言えるのかもしれません。

「ページェント」奥付

  • Posted : 2010年3月18日 18:48
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