野外劇

「野外劇」(やがいげき)

野外劇とは、文字通り野外(屋外)で行われる演劇のことです。
当然ながら、対義語は室内劇(屋内劇)になります。

現在では、演劇は屋内で上演されるのが当たり前となっていますが、
演劇の発祥と深く関わると考えられている宗教的行事、
神事や祈祷などは野外で行われることがほとんどでしたし、
演劇の源とされる古代ギリシアやローマの時代も、
屋外の地形を利用した劇場を造って公演を行っており、
演劇はむしろ野外で行われる方が一般的でした。

日本においても同様で、古典芸能は元々野外劇だったものがほとんどです。
また、現在も各地で受け継がれている神事や民俗芸能などで劇を演ずるものも、
その多くが屋外で行われているのではないでしょうか。
そして、割と最近に誕生した歌舞伎でさえも仮設劇場で上演されていたものですし、
そもそも「芝居」という言葉も、観客が芝に居ることから生まれています。

このように、基本的に野外で行われるのものであった演劇に、
屋内劇場が普及したのは中世ヨーロッパ後期であると言われています。
そして今日のように舞台公演=屋内劇になったのは、
演劇が商業的な興行となった近現代になってから。
つまり、演劇の様式や演出上の理由で屋内劇になったというよりも、
天候に影響されないためなど、実は商業的な理由の方が要因として大きいようです。

「野外劇」奥付

  • Posted : 2010年3月 3日 23:28
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