口上売り・啖呵売

「口上売り」(こうじょううり)
「啖呵売」(たんかばい)

「口上」というのは、口頭で述べることですよね。
歌舞伎では、出演者や劇場支配人など公演を代表する人が、
観客に対して述べる挨拶を「口上」と言います。

一方の「啖呵」は、「口上」よりも威勢の良い言葉のことを言います。
喧嘩をするときに「啖呵を切る」というように使いますね。
ちなみに、漢字の「啖呵」というのは当て字です。

こうした「口上」や「啖呵」を使い、
わりとありきたりな品物を売りさばく商売を「啖呵売」「口上売り」と言います。
映画「男はつらいよ」の寅さんでお馴染みですね。

本来は販売の技術として生まれた「啖呵売」ですが、
現在では、ガマの油売りやバナナの叩き売りなどが、
大道芸の分野で伝統芸能としての位置を確立しています。
お客様をその気にさせる見事な話術や諸芸。
収入は実力次第、一人前になるのに時間がかかるといった点で、
芸事と同様に扱われてきたのではないでしょうか。

舞台の演目として有名な物に、二代目市川団十郎の「外郎売り」があります。
「拙者親方と申すは」で始まり、
「うゐ(い)ろうは、いらっしゃりませぬか」で終わるこの文句は、
演劇の基礎練習として現在でも使われています。
滑舌などを含めた発声練習になるだけではなく、リズム・緩急・発音・・・
俳優の発声に関わる様々な面においての練習になるのです。

サクラなどを使い、あくどい商売として行われたこともあった「啖呵売」ですが、
人を騙すということは、演じなければならないということで
芸事につながっていったのでしょうね。

「口上売り・啖呵売」奥付

  • Posted : 2008年7月24日 14:35
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