ツケ

「ツケ」

歌舞伎で見得を切るときに、拍子木で板を打って出す効果音を「ツケ」と言います。

歌舞伎では、上手の隅、幕だまりの辺りに
板を持った黒衣が床に座っていることがあります。
この黒衣がツケを打つ係の「ツケ打ち」で、その拍子のことを「ツケ拍子」、
拍子木のような2本の木を「柝(き)」(「ツケ柝」)、打ち付ける板を「ツケ板」と言います。

この「ツケ」は、歌舞伎以外に文楽などでも使われていますが、
文楽や上方歌舞伎では「カゲ」と呼ばれることもあります。
また「ツケ打ち」も、関東では基本的に大道具が担当しますが、
上方では原則的に狂言方が担当するそうです。

歌舞伎の舞台では、見得のとき以外にも、立ち回りや駆け足など、
役者や道具の動きに合わせて様々な場面でツケが打たれています。
つまりツケは、効果音だけでなく擬音の役割を果たすこともあるわけです。

いずれにせよ、芝居や場面を強調するためにツケは使われており、
寸分狂いなくツケを打つには、演出や役者ごとの演技を完璧に理解し、
かつ音楽的なリズム感も求められますので、相当に高度な技術が必要なのがわかりますね。

「ツケ」奥付

  • Posted : 2011年1月 9日 17:21
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