東西

「東西」(とうざい)
「東西幕」(とうざいまく)

客席から舞台を見て、右側を「上手」、左側を「下手」と呼びますが、
これとは別の表現として、
上手(右側)を「東」、下手(左側)を「西」という方角による言い方もあります。
ですから、舞台面(客席側)が「南」、舞台奥が「北」ということになりますね。

このように舞台を東西南北で表現するのは、
舞台が今のような常設ではなく、まだ仮説舞台で移動公演を行っていた頃、
当然照明器具などはありませんから、
公演は昼間に行われ、舞台に太陽の光が当たるよう、
舞台を南向きに設置していたことに由来しています。
つまり、客席が南なので舞台は北、
舞台を見て右手が東で、左手が西というわけです。

ところで、袖幕があっても舞台袖が見切れてしまうとき、
袖中を隠す幕のことを「駄目幕」と言い、これを「東西幕」と言うこともあります。
「東西幕」は、お客様から袖の奥が見えないようにするために用いられるため、
東西の舞台面から奥にむかって縦方向に引かれるものです。
舞台の「東」と「西」にあるから東西幕、ということでしょうか。
ちなみに、劇場によって駄目幕がない場合は、
雑黒などで袖中を隠し、これを「駄目黒」と言います。

また、歌舞伎でお馴染みの定式幕のことを東西幕と言うこともあります。
こちらは、東西に引かれるから東西幕ということなのでしょうか。


         (舞台奥)
下手━━━━━━━━━━━━━━━━ 上手
    西┃━━袖(舞台)袖━━┃東
    西┃━━袖(舞台)袖━━┃東
    西┃━━袖(舞台)袖━━┃東
下手━━━━━━━━━━━━━━━━上手
         (客席)


それから、主に関東のチンドン屋は、
口上で「東西東西」と言うことから「東西屋」とも呼ばれますが、
この「東西」は「東や西に居る皆様」といった感じの意味合いで、
四方のお客様のざわめきを静めるために用いられます。
これは、場内を東西南北で表す相撲の世界で使われたのが語源と言われています。

「東西」奥付

  • Posted : 2009年2月23日 18:13
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