「打物」(うちもの)
パネルなどの平面の大道具に、立体的に打ち付けた物を指す言葉です。
屋体道具では柱や桟(さん)、
背景パネルでは、土手に見せるための石畳や看板など、
打ち付ける物は様々ですが、判断の基準としては、
「打ち物」=「釘などで打って(固定して)パネルに止めてある物」
と考えていただければ間違いないと思います。
歌舞伎の世界では、
上下(かみしも)にある幕やパネル、張り物のことを「打物」と言います。
こちらは他にも「囲い」や「当て物」とも呼ばれます。
また、雅楽では打楽器全般を指します。
太鼓・鉦鼓・羯鼓などの鼓関係のことですね。
ちなみに「鳴り物」と言った場合には、三味線以外の楽器すべてを意味します。
その他、芸能以外のジャンルでも「打物」というのは、
いろいろな使われ方をしているようです。
基本的にはどこでも文字通りの「打つ(打った)物」という意味ながら、
関わるジャンルによって指す物の意味が変わる、
いかにも日本語らしい言葉という感じですね。