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2006年7月12日

■53年映画は著作権消滅

1953年に公開された映画「ローマの休日」と「第十七捕虜収容所」の著作権を主張し、
格安DVDの販売差し止めを求めた仮処分申請について、
東京地裁は、2003年末で保護期間は満了したとして、請求を却下する決定をしました。 

この「53年問題」と言われる、わかりづらい問題を簡単に言えば、
映画の著作権は50年か70年か、ということです。
元々50年と定められていた著作権ですが、2004/1/1〜期間を70年とした改正著作権法が施行。
このため、2004年のちょうど50年前の映画は、著作権で保護されるかどうか見解が分かれていました。

ファーストトレーディング社は、「ローマの休日」「第十七捕虜収容所」などの映画を格安DVDとして販売、
これに対し映画会社のパラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションは著作権を主張、
権利を侵害されたとして、販売差し止めを求めた仮処分申請を行っていました。

この訴えの仮処分決定が昨日11日、東京地裁で行われ、
高部真規子裁判長は「著作権の保護期間を過ぎている」と述べ、
パラマウント社側の主張を退け、格安DVDの販売を認めました。

パラマウント社側は、決定を不服として知財高裁に取り消しを求めるようですが、
この判決が最終決定となれば、1953年(以前)の映画は著作権に保護されるものではなくなり、
廉価なDVDが再び多数発売されることが予想されます。
同年は上記2作以外にも、「シェーン」「ナイアガラ」「宇宙戦争」「紳士は金髪がお好き」
邦画でも「東京物語」「雨月物語」などが公開されており、映画の当たり年と言われています。

しかし、そもそもこの訴え自体意味がよくわかりません。
2004/1/1に改正法が施行されたということは、
その時点で著作権に守られている映画については、期間が70年に延長されるということですよね。
と言うことは、1953年公開の映画は50年後の2003年末で著作権が切れており、何の問題もないはず。
それを文化庁は、2003年12月31日24時と2004年1月1日0時は接着しているので法改正が適用されると主張、
パラマウント社の今回の訴えとなっています。
つまり文化庁の言い分に従うと、
明日までに、という約束事は、明日の24時と明後日の0時は接着しているから明後日までOK、ということになりますよね。
私の常識では、こんな論理はまかり通らないと思うのですが、
この争いは高裁でも続けられるようですので、どのような判断が下されるか注目したいところです。

それから、映画著作権の期間ですが
30年ほどだったものが50年、70年と拡大されてきたため、一般にあまり評判が芳しくないようですが、
50年以下の期間では、映画に携わった制作者などもまだ現役だったり存命だったりすると思われます。
そんな中、作品が勝手に公共物にされてしまうというのもいかがなものかと思いますし、
一般に著作権の保護期間は著作者の死後50年までとなっていますので、
現在の公開後70年くらいが適正なんじゃないかな、と私は思います。
しかし、1954年制作映画の著作権が切れる2024年頃、
さらに期間を延長するなんてことになると、さすがにどうかと思いますが。

1953年演劇・映画賞
amazon ¥1,000以下DVD
amazon パラマウント
東京地方裁判所
著作権情報センター
著作権法(第五十四条など)

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「53年映画は著作権消滅」奥付

  • Posted : 2006年7月12日 15:55
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