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2007年7月 9日

■鄭義信が新宿梁山泊の上演差し止め仮処分申請

劇作家の鄭義信は、新宿梁山泊「それからの夏2007」は自作の無断上演だとして、
上演差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てました。

鄭義信(チョン・ウィシン)は、1987年〜1995年に新宿梁山泊の座付作家だったものの、
退団後、自作を3回無断で上演され、改変なども行われたため、1999年に上演を一切許可しないと通告。

しかし、新宿梁山泊は鄭義信が1993年に書いた「それからの夏」を
「それからの夏2007」と改題し、8月に20周年公演で上演すると伝えてきたとのこと。
鄭義信側は拒否したものの、協議は平行線に。
梁山泊が7月5日からチケットの前売りを開始したため、仮処分の申請となったようです。

報道されている双方の発言をまとめてみると、
鄭義信側は、「劇団は鄭に著作権がないなどと言って上演を強行しようとしている。
何度も上演中止を申し入れたが、無視された。
多くの劇作家、脚本家が著作権侵害と闘っており、私個人の問題ではない。
在籍した劇団なので心苦しいが、法的手段をとることにした。」と主張。

一方の新宿梁山泊・金守珍代表は「鄭は退団時に『ひと言断れば上演してもいい』と言っていたので、断って上演してきた。
作品は劇団全体で作り上げたもので、作家だけに著作権があるというのは異論がある。
彼の作品だが、劇団員みんなで作り上げたもので、改ざんもしていない」というような言い分になっています。

単純に考えると作家が改変や上演を拒否した場合、上演は叶わないように思いますが、
劇団側からすると「劇団で作った作品」という意識があるでしょうし、
どちらももっともな意見のような感じで、なかなか難しい問題といった印象です。
いずれにせよ古巣劇団相手の法的手段は寂しい感じもしますし、早期の円満解決を期待したいところです。

新宿梁山泊 オフィシャルサイト

※7/24追記
7月24日、東京地裁で和解が成立しました。
上演権が現在も劇団側にあるかどうか裁判で確定するまで作品を上演しないことが和解内容ということで、
8月1日から5日に予定されていた公演は中止となりました。
今後、劇団側に上演権があるかどうかが裁判で争われる模様です。

※8/30追記
8月27日、新宿梁山泊側が鄭義信を相手取り、劇団側に上演権があることの確認を求める訴訟を起こしました。

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「鄭義信が新宿梁山泊の上演差し止め仮処分申請」奥付

  • Posted : 2007年7月 9日 16:03
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