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2008年12月15日

■小道具のナイフが本物に

オーストリアの劇場で上演されていた公演で、
自殺の場面を演じていた俳優が本当に首を切ってしまい、
病院に運び込まれる事件がありました。

このニュースは、欧州を始め世界中のメディアによって報じられているもの。
報道されている内容をまとめると・・・
これは、ヨーロッパの中でも歴史と格式を誇る劇場の1つである、
オーストリア首都・ウイーンのブルグ劇場(Burgtheater)で上演されていた
フリードリヒ・フォン・シラー(Friedrich Schiller)の
「メアリー・スチュアート(Mary Stuart)」のワンシーンでの出来事。
おそらく、12月6日の公演で起こった事件だと思われます。

本来、切れなくしてあるはずのナイフで、首を切って自殺するシーンを演じた、
30歳の俳優ダニエル・ホエヴェル(Daniel Hoevels)。
舞台に血が流れ出たものの、演技だと思っていた観客や他の出演者はすぐには気づかず、
彼がはけるシーンになっても呆然と倒れ込んでいたいたことで、
ようやく本当に悲劇が起こったことに気がついたそうです。

観客にもわかるほど大量に出血したものの、
幸い傷が頸動脈を外れていたためダニエル・ホエヴェルの命に別状はなく、
公演にも出演を続けているとのこと。
現在、警察が事故と事件の両面から捜査を行っており、
出演者など、舞台裏に入ることのできた関係者に対して取り調べを行っている模様。


小道具でナイフを使う場合、
偽物を作って使用するか、本物のナイフの刃先をヤスリなどで削り、
切れなくして使用するかのいずれかだと思いますが、
今回は気づかずに切ってしまったのですから、おそらく後者なのでしょうね。

しかし、ミステリ小説にありそうな事件が、実際に起こってしまった感じですね。
歌野晶午の「動く家の殺人」、J.D.ロブの「ラストシーンは殺意とともに」などで
今回とそっくりの事件が登場したように記憶していますけれど、
元々は、クリスティあたりに元ネタがありそうな気がするのですが・・・
思い出せないのが悲しいところです。

この事件を受けて世間では、役をとれなかった他の俳優の妬みであるとか、
この件のすべてがギミックであるなど、様々な噂が飛び交っているようです。
しかし話題性のために、公演をぶち壊してしまう演出を取り入れることは考えづらいですし、
事故か事件のいずれかなのではないかと思えますよね。
事故であれば、ちょっと洒落にならないことですし、
公演を行う方々は、くれぐれもお気をつけください。

舞台・演劇用語: 大道具・小道具
舞台制作 | 大道具・小道具

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「小道具のナイフが本物に」奥付

  • Posted : 2008年12月15日 01:52
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