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2012年2月 3日

■パゾリーニ戯曲初翻訳紹介第二弾「騙り。」

2011年5月、日本初演された、P.P.Pasolini's PORCILE「豚小屋」につづく第二弾として、
川村毅構成・演出によるパゾリーニ戯曲初翻訳紹介第二弾「騙り。」(かたり。)(Affabulazione)が上演されます。

イタリアの詩人、映画監督として知られるピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)。
昨年上演された「豚小屋」は、手塚とおる演じるブルジョワ家庭の息子の心の闇を描いた作品でしたが、
「騙り。」は彷徨えるブルジョワの父を描いており、その反転したような関係性をあらわすように、数名同じ俳優陣が反転した役柄で出演します。
劇詩人パゾリーニが、人生を彷徨う<父>を描く、美しくも哀しいギリシャ悲劇のような詩劇。

「騙り。」は、4月18日から4月22日に座・高円寺、4月28日に京都芸術劇場 春秋座 舞台上にて上演。
チケットは、東京公演が4,800円、学生割引3,500円(主催のみ取扱、枚数限定、要確認書)で、3月2日発売。
京都公演が3,500円、シニア3,200円(60歳以上)、学生&ユース2,000円(学生・25歳以下)で、2月14日発売。

2011年の「豚小屋」、この4月公演「騙り。」につづき、
10月には中野テアトルBONBONにて「文体の獣」(Bestia da stile)を上演予定。
以降、2014年までにパゾリーニ戯曲集に収められた全作品を日本初演予定。


「騙り。」
日程:2012/4/18〜4/22 座・高円寺(東京)
   2012/4/28 京都芸術劇場 春秋座 舞台上(京都)
構成・演出:川村毅
脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
翻訳:石川若枝
翻訳協力:テレーザ・ルドヴィーコ/ロレータ・グアーリオ
衣裳・美粧:宇野亜喜良
出演:手塚とおる/谷部央年(俳優座)/河合杏南/大沼百合子/笠木誠/中村崇/柊アリス/真那胡敬二/蘭妖子
チケット:[東京][京都]

STORY&CAST
父親(手塚とおる)はブルジョワの実業家であるが、心身に変調をきたし、所有するミラノ郊外の別荘に、母親(妻)(大沼百合子)、息子(谷部央年)とともに滞在している。
プロローグ。ソフォクレスの影(笠木誠)が騙る。
皆さんに話しかけるのは、ソフォクレスの影。
私はみずからの意思でここにいる、
あまりに難しく、あまりに易しい言葉の門出を祝うため。
歴史上最悪の時期にある社会
の観客にとっては難しい、
数少ない詩の読者にとっては易しい言葉。
よく耳をすませて下さい。
それだけです。あとは
皆さんなりに追っていただきたい、
終わるけれど始まらないこの悲劇の
少々破廉恥な成行きを - 
私の影が再び登場するまで。
そのとき状況は変わるでしょう
そしてこれらの詩句は、ある客観性をもち
ゆえにふさわしい恩寵を得るでしょう。
父親はある夢を見たことをきっかけに執拗に息子を解明しようとする。
宗教に関心のなかった父親は、神父(真那胡敬二)に救いを求め、降霊術師(蘭妖子)に息子の存在を訪ねる。
息子の恋人である少女(河合杏南)を、父親は自分も誘惑しようとしている娼婦だと言う。
遂には息子を殺してしまったらしい父親は浮浪者となり初めて乞食(中村崇)に心をひらく。全てを見つめる天使(柊アリス)。

「騙り。」について:川村毅
 まず最初に確認しておきたいのは、日本では映画監督としてのみ知られているパゾリーニは、詩人、小説家であるとともに劇作家であったということです。
戯曲を十数本書いていて、代表作の六本がイタリアのパゾリーニ全集に収められています。
去年座・高円寺1で上演した「豚小屋」は、そのなかの一本で、六戯曲すべてを上演しようという目論みの一巻です。
 なぜこのようなことをわざわざ最初に述べたかといいますと、「豚小屋」上演の際、映画を原作として私が戯曲化したと勘違いされている方が少なからずいたからです。
「豚小屋」が映画になっているせいもありましょう。パゾリーニは映画と並行して同じ主題で戯曲を書き上げていたのです。
 さて今回の「騙り。」は、ちょうど「豚小屋」とコインの裏表の関係にあります。書かれた時期もほぼ同じ頃であり、映画の「豚小屋」の撮影と同じ年に詩劇として発表されています。
 「豚小屋」が息子の視点から書かれたものだとすると、「騙り。」は父の視点です。
 息子の父殺しは、言うまでもなくオイディプスの物語であり、パゾリーニは自身をオイディプスに仮託して「アポロンの地獄」という映画を撮り、臆面もなく母への愛を謳い上げています。
「騙り。」においては、「豚小屋」の息子と父の視点の反転のみならず、オイディプスの神話の逆転も仕掛けられています。
 父の息子殺しです。
この殺人において、父の見る息子は単なる血縁上の子供に止まらず、王の幻に見えたり、同性愛の対象として写ったり、果ては神となって現れたりもする。あるいは、一切は父自身の分身、影なのかも知れないとも読み取れます。
 ただ難解ということはありません。パゾリーニ自身、自分の詩劇は理解するより感じて欲しいと述べています。
そう、これは視覚的刺激に満ちた感じる舞台です。美しい舞台を作ろうと思っています。どうかパゾリーニの思想を感じてください!

●書籍:パゾリーニ・ルネサンス
●書籍:パゾリーニ詩集

●ピエル・パオロ・パゾリーニ戯曲集全6作品日本初演企画(演出・川村毅)
Orgia オルジァ:2003年世田谷パブリックシアター主催リーディング上演
Porcile 豚小屋:2011年座・高円寺提携上演
Affabulazione 騙り。:
Bestia da stile 文体の獣:2012年10月テアトルBONBONにて上演予定
Pilade ピラデ:2013年上演予定
Calderon カルデロン:2013年、最終章として上演予定

「豚小屋」
日程:2011/5/20〜5/29 座・高円寺1(東京)
構成・演出:川村毅
脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
翻訳:キアラ・ボッタ/大崎さやの
出演:手塚とおる/伊藤キム/河合杏南/笠木誠/福士恵二/大沼百合子/伊沢勉/柊アリス/中村崇

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「パゾリーニ戯曲初翻訳紹介第二弾「騙り。」」奥付

  • Posted : 2012年2月 3日 19:36
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