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2008年7月12日

■新国立劇場人事問題

新国立劇場の演劇部門次期芸術監督の交代をめぐり、
演劇人有志と日本劇作家協会は、
芸術監督選定プロセスの詳細開示を求める声明を出すようです。

新国立劇場(東京・渋谷区)演劇部門の次期芸術監督の選定過程が不透明だとして、日本劇作家協会(坂手洋二会長)と演劇関係者有志が、「プロセスの詳細開示を求める声明」を14日に出すことがわかった。
同劇場運営財団(遠山敦子理事長)は理事会で異論が出ていたにもかかわらず、先月30日、鵜山仁芸術監督の後任に演出家の宮田慶子氏を選んだと発表。演劇関係者らから「理事長サイドの独断」などと批判が相次いでいた。
声明は劇作家の井上ひさし、永井愛、別役実、演出家の木村光一、蜷川幸雄氏ら12人の連名で出される予定。
読売新聞(7/12)

今回の芸術監督選考に関しては、
各部門で問題が生じていたことがマスコミで報道されています。
特に演劇部門では選考が遅れる中、
最終的に遠山敦子理事長の一存で決定したのでは、と伝えられています。
この辺りは、オペラ部門の芸術監督の件と合わせ、朝日新聞が報道しています。

演劇部門では、07年9月に就任したばかりの演出家の鵜山仁監督の退任について、疑問が相次いだ。財団側が3月に退任の方針を固め、選考委員兼理事で演劇評論家の小田島雄志さんらが提起した「鵜山再任案」が十分論議されないまま、演出家の宮田慶子さんの選任を決めたためだ。
次期芸術監督は作品準備のため、就任の約2年前に決まる。1期で退任する場合、1年もたたないうちに評価されることになる。鵜山さんは今年、日韓合作の「焼肉ドラゴン」や「シリーズ・同時代」で高い評価を得たが、時すでに遅かった。理事で舞台照明家の沢田祐二さんは「芸術家の使い捨ては困る」と憤る。
朝日新聞(7/9)

内情はよくわかりませんが、
14日に出す予定の声明は選考プロセスの詳細を開示するよう求めるもののようですので、
新国立劇場運営財団側には、きちんと応えてほしいところですね。
14日には日本劇作家協会会長の坂手洋二が記者会見も行う予定のようですので、
続報がわかり次第追記していきます。


新国立劇場演劇部門・芸術監督に宮田慶子(2008/6/30)
日本劇作家協会
新国立劇場


※2008/7/14追記
演劇人有志12名(井上ひさし/大笹吉雄/小田島雄志/木村光一/坂手洋二/佐藤信/
沢田祐二/永井愛/蜷川幸雄/ペーター・ゲスナー/別役実/松岡和子 )と、
日本劇作家協会、日本演出者協会、国際演劇評論家協会日本センターは
新国立劇場運営財団に対して「芸術監督選定プロセスの詳細開示を求める声明」を発表しました。

声明では、採決が不可能だった理事会の真偽そのものを問題視する意見があることを述べ、
選任について選考委員会に差し戻すこともなく、
理事長に一任するという異例の方法となった理由が不明瞭であり、
強く抗議すると共に、今後同じことが繰り返されないよう
選定の手続きを明らかにすることを要求しています。


※2008/7/23追記
7月17日、新国立劇場は「次期演劇芸術監督の選考とその考え方」として回答を発表しました。
回答は、新国立劇場のサイトにPDFファイルで公開されています。
これに対し、演劇人有志、日本劇作家協会、日本演出者協会、国際演劇評論家協会日本センターは、
7月22日、新国立劇場運営財団に対して
「芸術監督選定プロセスの詳細開示を、再度求める声明」を出しました。
今回の声明には、新たに島次郎と扇田昭彦が加わっています。
こちらも、日本劇作家協会のサイトにPDFファイルで公開されています。

内容を見てみると、
有志などが元々の声明で芸術監督選考プロセスの開示を求めているのに対し、
劇場側はこれまでの概要などを回答したに過ぎず、
プロセスの詳細開示にはなっていないとして、再び情報開示を求める状況になっています。
劇場側は、選考委員会彩理事会での議論の内容は守秘義務があり、
公開できないという考えなのに対し、
有志などはそのプロセスにこそ問題があったと考えるために開示を求めていますので、
今のところ議論がかみ合っていない印象を受けます。
劇場側がプロセスの開示に応えられるかどうかで、今後の進展も変わってくるのでしょうね。


※2008/7/29追記
鵜山仁芸術監督が28日に東京都内で会見し、次期芸術監督の選考過程について
「かなり不自然な部分があったと考えざるを得ない」という旨のコメントを発表しました。
具体的には、鵜山監督自ら進退の意思表示はしていないのにも関わらず、
「忙しいから辞めたい」とも受け取られかねないような
個人的な事情に帰することは問題があるのではないか、といった感じの内容です。
また、鵜山監督は残り2年間の芸術監督任期をしっかり勤め上げるつもりであることを述べ、
コミュニケーション不足となった問題点を明らかにし、信頼関係を回復していきたいと表明しています。


※2008/8/25追記
北村想が、今年度限りで日本劇作家協会を退会すると自らのblog「北村想のポピュリズム」で発表しました。
同blogに拠ると、「協会退会の理由は、新国立劇場の、現今の騒動を野次馬したから」ということです。


※2009/6/2追記
演劇人有志と関係団体は、3度目の声明となる
「新国立劇場の自省と再生を願う演劇人の声明」を発表しました。
長くなりましたので、以後は下記ページに。
新国立劇場人事問題2 | 演劇ニュース

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「新国立劇場人事問題」奥付

  • Posted : 2008年7月12日 16:48
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