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2009年6月20日

■新国立劇場人事問題2

2008年7月に起きた新国立劇場の演劇部門次期芸術監督の交代を巡る問題で、
演劇人有志と関係団体は、3度目の声明となる
「新国立劇場の自省と再生を願う演劇人の声明」を19日に発表しました。

この問題は2008年6月、
新国立劇場が演劇部門の次期芸術監督に宮田慶子就任を発表したことに端を発します。
これに対し、演劇人有志と日本劇作家協会は7月14日、
芸術監督選定プロセスの詳細開示を求める声明を出しました。

7月17日、新国立劇場側は回答を発表しましたが、
これが質問に対する回答になっていないということで、
7月22日、演劇人有志などは2度目の声明を発表しています。

これまでの流れについては、昨年も取り上げていますので詳しくは過去の記事をご参照ください。
新国立劇場演劇部門・芸術監督に宮田慶子 | 演劇ニュース(2008/6)
新国立劇場人事問題 | 演劇ニュース(2008/7)


そして今回、2009年6月19日に
演劇人有志と関係団体は、3度目の声明となる
「新国立劇場の自省と再生を願う演劇人の声明」を発表しました。

声明文の内容を見ると、
新国立劇場運営財団は過去2回の声明に対して明確な回答を避けてきた上、
5月7日付けでウェブサイトに発表された
「平成20年度第3回理事会における決定」を見ると、
この問題を曖昧にしたまま幕引きを図ろうとしている姿勢を示しており、
看過することはできない、といった旨が記されています。

今回の声明における賛同連名は、2度目の声明の14名からさらに6名増えた20名と3団体。
井上ひさし/大笹吉雄/木村光一/ケラリーノ・サンドロヴィッチ/鴻上尚史/
坂手洋二/篠原久美子/島次郎/扇田昭彦/永井愛/
西堂行人/蜷川幸雄/ペーター・ゲスナー/別役実/マキノノゾミ/
松岡和子/松本修/横内謙介/流山児祥/渡辺えり/
日本劇作家協会/日本演出者協会/国際演劇評論家協会日本センター

また、新国立劇場運営財団の理事である永井愛と小田島雄志が、
理事を辞任したことも明らかにされました。
辞任の理由について永井愛は
「3月の理事会で同問題に関する発言を制限され、不当な扱いを受けた」と発言しています。

一方、新国立劇場のサイトに掲載された平成20年度第3回理事会における決定を見ると、
「次期芸術監督予定者選考委員会は自由な議論の下に適正なプロセスで行われ、
最終的に満場一致で次期演劇芸術監督予定者を選出した。
選考委員である当事者の私への質問や事実関係の確認をすることもなく、
いきなり外部諸団体に呼びかけて問題を引き起こすやり方は極めて遺憾である。」
という選考委員でもある理事の発言が掲載されており、
同選考に関しても今後理事会で再議しないことが圧倒的多数で確認されたとのこと。

ここまでの流れを見ると、劇場側は、芸術監督選考のプロセスを開示するつもりも、
また演劇人などの声明に対して正面から向き合うつもりもないことが伺い知れます。
これまでは、人事の問題を公表することはできない、
無関係である外部の人間が口を出してきた、という感覚だったのかもしれませんが、
2名の理事が辞任する事態にもなっているわけですし、
最早そのような姿勢では済まされないようにも思えます。
また、細かい内情はわかり得ませんが、
これまでに発表された両者の声明などを見た限りにおいては、
劇場運営財団側はいかにも官僚的な対応に感じられ、
人々に夢や感動を与えるべき文化・芸能に関わる方々の
姿勢ではないように感じられてしまうのが残念なところです。

※追記
6月24日に新国立劇場運営財団の霜鳥常務理事が記者会見し、
昨年の時点で回答は終わっているとして、選考過程を検証することはなく、
これ以上の議論にも応じないことを表明しました。


AICT 国際演劇評論家協会日本センター(演劇人の声明文などはこちら)
演劇部門の芸術監督の選任について | 新国立劇場

新国立劇場演劇部門・芸術監督に宮田慶子 | 演劇ニュース(2008/6)
新国立劇場人事問題 | 演劇ニュース(2008/7)

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「新国立劇場人事問題2」奥付

  • Posted : 2009年6月20日 17:51
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