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2009年11月30日

■エアスクリプト

ウエストエンドの劇場で、手の平サイズの字幕装置「エアスクリプト」が導入されました。

「エアスクリプト(AirScript)」は、
舞台上で上演されている台詞や歌詞をリアルタイムに翻訳する機械で、
英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、中国語、日本語の8カ国語に対応。
上演される演目の言語が自国語でない観客は、
1人1人がこのエアスクリプトを手にし、
翻訳された言語を見ながら観劇できる仕組みになっています。

AirScript

このエアスクリプトは、
ケンブリッジ・コンサルタンツ(Cambridge Consultants)という
イギリス企業の製品で、大きさは手の平サイズ。
もちろんワイヤレスで、無線により情報が送信されるシステム。
画面に表示される字幕は、stage promptいわゆるプロンプター
舞台の動きに合わせてスピードを調節する仕組みになっています。

画面はフルカラーのワイドスクリーン、LEDバックライトの発光ですが、
観劇時に機器を使用しない回りの観客にも配慮して、
上演中の背景は光が漏れにくい黒、文字はオレンジ色に。
バッテリーは6時間は保ち、音もまったくしないようになっているため、
観劇に影響は少ないということです。

エアスクリプトは、ウエストエンド(West End)のシャフツベリー劇場(Shaftesbury Theatre)で上演中の
ミュージカル「ヘアスプレー(Hairspray)」で初めて導入されています。
観客は6ユーロ(¥800程)を支払って機器をレンタル。
簡単なタッチパネルの操作で言語を選択すれば、
観劇中に翻訳された画面を見ることができるようになります。
ですから、聴覚に障害がある方にも助けになるということです。

ウエストエンドでは、観客の1/3は海外からの旅行客ということで、
英語以外への翻訳も常に必要に迫られている面もあると思いますが、
舞台演劇をビジネスとして海外からの観光客を誘致しようという姿勢も感じますね。
日本でも、海外舞台の来日公演が行われるときは
ほとんどの場合が舞台袖にスクリーンを設置して字幕を流していますし、
伝統芸能の公演では、歌舞伎のイヤホンガイド、国立能楽堂の座席字幕など、
日本語ネイティブではない観光客向けにも様々な対応が成されていますが、
情報を見る限り、このエアスクリプトがベストの対応のような印象を受けます。
ただ、1人1人が自由に見ることのできる機械なので、
エアスクリプトを使わない隣席の観客への影響がどのくらいなのか、
その辺りのマナーなども問題になってきそうな感じもします。

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「エアスクリプト」奥付

  • Posted : 2009年11月30日 16:46
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